ロータリー財団奨学生中間報告 川﨑 千祥(第1回)
2024年11月28日
2024 ~ 2025年度 グローバル補助金 奨学生
川﨑 千祥
第1回 中間報告書(2024年10月1日 ~ 2024年10月31日)
1. 基本情報
カウンセラー(派遣側) | 熊本江南ロータリークラブ |
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カウンセラー(受入側) | Rotary Club of Barnet |
教育機関 | London School of Economics and Political Science (LSE) |
専攻分野 | 平和構築と紛争予防 |
2. 学業面での成果,状況,予定等
皆様、初めまして。この度、グローバル補助金奨学生として、ロンドンへの留学の機会をいただき ました川﨑千祥(かわさき ちひろ)と申します。London School of Economics and Political Science(LSE)で、ジェンダー、平和構築と安全保障を専門に学んでいます。この場をお借りし て、私の留学生活をお伝えしていきたいと思います。
成田空港にて、友人たちに見送られての出国
秋深まる2024年9月末、ロンドンでの学びへの期待と不安を胸に、大きなスーツケース2個ととも にヒースロー空港に降り立ちました。不安もつかの間、受け入れ先のRotary Club of Barnetの Scottさんが温かな笑顔で出迎えてくださり、その日のうちに寮に無事落ち着くことができました。
私が入居したグッドイナフ・カレッジは、ロータリー財団のGlobal Scholars Coordinatorである John Bartlett氏から推薦いただいた学生寮です。ロンドン中心部に位置し、約100カ国から集まっ た700名を超える修士課程以上の学生とその家族が暮らすコミュニティです。入居者それぞれが 寮の運営や活動に主体的に関わり、まるで小さな国際社会のような場所です。
グッドイナフ・カレッジの外観
最初の1か月は、寮と大学それぞれのWelcome Week(日本の大学でのオリエンテーションに相 当)が続き、生活環境の整備に追われながらも、世界各国からの仲間たちとの出会いに充実感 を覚えました。寮のWelcome Dinner・Drinkなどのイベントでは、様々な文化的背景を持つ学生 たちと交流する機会に恵まれました。
特に印象深いのは、入寮から3日目の夜のことです。ダイニングホールで偶然、数学の博士課程 で学ぶ英国人学生と、インド人夫妻(建築学を学ぶ妻と、IT企業でリモートワークをする夫)との4 人で過ごした時間です。日本、イギリス、インドそれぞれのカレー文化について語り合う中で、「正 しい」「当たり前」と思っていた自分の価値観も、実は文化的な文脈の中で育まれていることに気 づきました。インドから伝わり、イギリス人の好みに合わせて発展したカレーは、今では逆に日本 の「カツカレー」がイギリスで人気を集めているという興味深い展開を見せています。それぞれの 食文化やその歴史的背景について語り合い、夜遅くまで会話が尽きませんでした。
イギリスの「国民食」となったチキンカレー
10月からはLSEでの学びも本格的に始まりました。現在は学際的にジェンダー理論を学びなが ら、特に女性・平和・安全保障(WPS)について研究を深めています。(WPSとは、2000年に国連 で採択された比較的新しい概念で、紛争解決や平和構築における女性の参画とその重要性を強 調するものです)学部時代から紛争解決学を専攻し、関心を持ち続けてきたこの分野で、世界の 第一線で活躍する教授陣や実務経験豊富な仲間たちと、日々楽しく学んでおります。毎週500 ページに及ぶリーディング課題は決して容易ではありませんが、ディスカッションでは日本人とし ての独自の視点を大切にしています。特にアジアの視点からみたジェンダーやWPSの課題につ いて、私の経験や知見を共有することで、議論に新たな視点を提供できるよう努めています。
LSEのソー・スウィー・ホック学生センター前の彫刻”The World Upside Down”(逆さまの世界)
学部時代にインターンシップを行った国連人口基金が授業で取り上げられ、新たな視点で学び直す機会となりました
3. 受入ロータリーとの交流
この留学生活をより豊かにしてくれているのが、ロータリーの皆様とのつながりです。受け入れク ラブの例会は、緑豊かなゴルフ場に隣接するパブで開かれています。初回の例会では、伝統的 なイギリス料理のフィッシュ・アンド・チップスでもてなしていただき、20分間の自己紹介にも熱心 に耳を傾けてくださった会員の皆様の温かさに感動しました。
おもてなしのフィッシュ・アンド・チップス
イギリスの修士課程で学ぶ約60名のロータリー奨学生との出会いも、私にとって大切な財産となっています。10月にイギリス南部のイーストボーンで開催された3日間の地区大会では、アメリカからの奨学生とともにロータリー奨学生を代表して壇上で感謝の言葉を述べる機会をいただき、大変光栄に感じました。
Regional Rotary Foundation Co-ordinatorのマイクさんと奥様のデビーさん
ロータリー奨学生との集合写真
奨学生代表としてのスピーチ
ロンドンは今、クリスマスシーズンを迎え、街全体が冬の装いに変わりつつあります。日照時間は 短くなりましたが、街角に響くクリスマスキャロルや美しいデコレーションに、日々心温まる思いが しています。物価の高いロンドンでの生活も、寮での自炊を中心に徐々に慣れてきました。 クリスマスシーズンは特別に、秋学期を頑張った自分へのご褒美として、仲間たちとホットチョコ レートを楽しんだり、手作りのディナーパーティーを開いたりする予定です。年明けの論文提出に 向けて着実に準備を進めながら、寮の仲間や奨学生の友人たちと、この特別な季節をどのよう に過ごすか、楽しみに計画を立てている今日この頃です。
寮の友人たちとの写真
寮でのロータリー奨学生との交流